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猪瀬氏、コミケを都条例対象でないと断言−−祝祭空間=「ハレ」という理屈か?

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―本誌ライターの小山内さんによる、コラム「オタク学」。「オタク的な分野×社会学」というテーマのコラムです。第32回です。―

作家で東京都副知事の猪瀬直樹さんは、東京都の「青少年健全育成条例」改正について国民に説明するため、ツイッターで発言を続けてきた。中には

「傑作(手塚治虫の『火の鳥』など)なら条例なんてないも同然」

(条例改正により表現の自主規制が起き始めている問題に対して)「作家のスキルの問題」

など、暴言と言われても仕方の無いようなものも含まれる。

しかし、今回話題になった発言は、今までとは少し違ったものだ。

「コミケは祝祭空間であり、「自治共和国」としての森川嘉一郎氏のガバナンスがしっかりしているので都条例の対象とならない。そもそも「図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者」(7条)に当たらない。『思想地図β』鼎談の読者の皆さん、追加です。続く」

ということはコミケ内であれば、今回の条例に触れるような成年向け同人誌の販売も許されるのだろうか?同人作家から同人誌を委託され販売する、同人ショップでは適用されるのか?そもそも何でこんな急な方針変換を?など疑問は絶えないが、まずは猪瀬さんのツイートをじっくり読んでみたい。

■ コミケ会場は日本的な「ハレ」の空間と言えるのか?

猪瀬さんが使った「祝祭空間」という言葉は、哲学者・ニーチェが考案したもので、古代ギリシャの神学や哲学をベースにしたものだ。

だが、ノンフィクション作家として絶えず「日本」を観察してきた猪瀬さんの仕事歴を考えると、日本的な「ハレ/ケ」の概念が当てはまるかもしれない。

「ハレ」とは「非日常」、「ケ」とは「日常」を意味する、日本の伝統的な価値観のことで、民俗学者の柳田國男が発見した。

「ハレ」には宗教的儀式やお祭りイベントなどが当てはまる。その理屈でいえば、コミケは世界最大のオタク祭りである。そこでは条例なんて「そんなの関係ねぇ」状態になる、と猪瀬さんは言いたいのだろうか。

■オタク文化に詳しい批評家・評論家との対話には効果があった?

猪瀬さんがツイッターで言及している『思想地図β』は、小説で三島由紀夫賞を受賞したこともある、批評家・東浩紀さんが責任編集を務める思想・評論系の雑誌だ。

その中で猪瀬さんは、オタク文化を上手く取り入れつつ、世界から注目される現代アートを完成させた芸術家の村上隆さん、そして東さんと「非実在青少年」について鼎談を行っている。

また同じ号には、秋葉原などの都市文化に詳しい明治大学准教授・森川嘉一郎さん(こちらも猪瀬さんがツイッターで言及)も寄稿している。

猪瀬さんが東さん・村上さんと語りあったことや、森川さんの都市論を読んだことにより、自らの「青少年健全育成条例」について多少考えを改めた、のかもしれない。あくまで推測だが、少なくともコミケの存在意義について気づいた可能性はある。

「萌えブーム」「アキバ系ブーム」はもう過ぎ去ったという意見があるが、今この瞬間も商業/同人、オンライン/オフラインを問わず、オタクコンテンツの創作や二次創作、そしてそれらを題材にしたコミュニケーションは行われている。規制賛成派と反対派の対立は今も根深いが、冷静に議論が行われていくことを望む。

※画像:(https://twitter.com/#!/inosenaoki/status/36450461636624384)、Amazon

(小山内)

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(参考リンク)
猪瀬直樹「コミケは祝祭空間だから都条例の対象にならない。変態同人誌を売買しまくってもいいよ」

小山内 聡(おさない そう)
漫画とアニメとゲームが好きで軍事オタクの文系大学生。趣味はノンフィクションを読むこと。はてなダイアリー『日の丸海賊団』で書評を書いています。
http://d.hatena.ne.jp/kurohige-ossadot/

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